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湖底に潜む巨大生物
〜世界の湖に伝わる怪物伝説〜
周囲はうすく霧が出ているで見通しはよくない。
「風がないのは助かるんだが・・・」
「まったくこんな日に・・・チッ!」
 相づちを打ちながら友人の言葉に思わず舌打ちしてしまう。しかたなくボートをこぎ出す。
 湖面はどんよりして波がない。ギィギィというオールをこぐきしみ音だけがいやに響く。岸から30メートルほど離れた頃だろうか。バサバサと急に水鳥が飛び立つ音がした。
 同時に少し風が出て来たのかボートが揺れだした。水面下で何かがよぎったような気がする。ぎょっとして周囲を見渡した。嫌な予感が脳裏をよぎる。
 恐る恐るボートから身を乗り出して水面下を見通す。水中は青黒く濁っていてとても気味が悪い。ここらで水深50メートルはあるはずだ。・・・と、大きな波がどこからか来てボートが右に左に大きく揺れ出した。ゴツン!ゴン!ボートの底で何かがこすったのか鈍い音がした
「うわっ、何だ、どうしたんだ?」
ゴボゴボと大きな泡が一つ二つ上がって来た。
「おい!あれを見ろ!」
 青ざめた友人の指さす方向を見た時、全身が総毛立った。ボートのすぐ横から何かが浮かび上がってくる気配がする。
 ボートのまわりには音をたてて無数の泡がブクブクと浮かんで来た。真っ黒いシルエットはだんだん大きくなりそれはボートの数倍以上の大きさになった・・・
* 世界中の湖に存在する怪物伝説 *
 湖にはなぜか得体の知れない巨大な生物が棲むという言い伝えは多い。世界中の湖でそうした怪物伝説がかたり伝えられているのも偶然の一致だろうか? シーンと静まり返って波一つない広くて不気味な湖面の下はどうなっているのだろう。いったい怪物の正体は何なのだろう? もしかしたら私たちが知らない未知の生物が湖底に潜んでいるのだろうか。
 今だ発見されていないそれら未知の巨大生物を、私たちはUMA(ユーマ)と呼んでいる。では世界の湖で報告されているこれらUMAの目撃レポートを紹介しよう。
 カナダ西部のブリテッシュ・コロンビア州にあるオカナガン湖には古来より得体の知れない巨大生物が棲み着いているという伝説がある。この伝説の怪獣はオゴポゴと呼ばれ、これまでに200件以上の目撃が寄せられている。
 オカナガン湖は幅は5キロほどで全長は135キロもあるひじょうに細長い湖だ。透明度は高く最も深いところでは230メートルもある。
 湖には大小の島が浮かび、島の近くの湖底には洞穴が無数に存在していると言われている。この湖中の洞穴には空気もあり、伝説の怪物はここに棲んでいて、ときたま湖面にも姿をあらわすのだと言われている。古来よりインディアンたちはこの怪物を「ナイタカ」(湖の悪魔)と呼んで恐れてきた。この付近は魚がよく獲れる場所だが、インディアンたちは怪物を恐れて決して近寄ることはない。
 多くの目撃報告の他、最近では多くの人々にビデオに撮られたり、テレビ番組で報道されたりもしている。目撃者の中には、遊泳中にその巨大な身体に触れて、恐怖心に駆られながら、その怪物の様子を目の当たりにした人もいる。
 これらの目撃報告からこの未知の生き物は推定20メートル前後はあると思われ、70センチほどの頭部は山羊のようだとされ、背中には無数のコブ、体の表面は緑色で斑点があるらしい。
クネクネした泳ぎ方に特徴があり、チョウザメの一種か古代に生息したクジラの祖先バシロサウルスが生き残っているのではと見る学者もいる。
クジラの祖先バシロサウルスは今から3500万年ほど前の海に生きていた。恐竜のように見えるがほ乳類である。
バシロサウルスは蛇のように長い身体を持ち、現在のクジラとは体型は似ていない。遊泳能力はあまりなく近海をヘビのようにのたくって泳いでいたというのである。
* ネッシーの正体は? *
 イギリスのスコットランドの北部にあるネス湖には、数百年も前から正体のわからない怪物がすんでいるという伝説はあまりにも有名だ。 ネス湖は、イギリスで最大の湖で、長さが三十五キロ、幅ニキロの、細長い湖で深いところは実に三百メートルもある。
 この湖は一年の半分は霧にとざされていて、冬になっても凍結しない。湖水はいつも黒くよどんでいて視界はきかず、十メートルも潜るとインクのような色になり、それ以上だとライトをつけても真っ暗になってしまう不気味な湖だと言われている。確かに怪物が棲んでいてもおかしくない雰囲気がただよっている湖であると言えよう。
 これまでにもネス湖で謎の怪物を目撃したという話はたくさん報告されている。
 1933年には湖畔をドライブしていた夫妻が、水面に巨大な生き物の頭が突き出しているのを目撃している。それは胴体が蛇のように長く、水しぶきを上げてうねるように泳いでいたという。
 1954年には、漁船が音響測深儀で、水面下150メートルの湖底近くを十五メートルもある大きな生き物が泳いでいるのをとらえたという。
 科学調査チームが本格的にネス湖で探査を開始したこともある。水中音波探知機や湖面に何台もカメラを設置し、30人の学生が湖に張りつき24時間体制で監視したのである。その結果、カメラには何度か原因不明の航跡らしきものが撮らえられ、水中音波探知機は何か巨大な物体が水深二十メートルほどの深さのところを浮いたり潜ったりしている様子がとらえられたという。
  その後、別のチームがやはり水中音波探知機を用いて、正体不明の巨大な物体の影をとらえた。物体の数は数個ほどもあり、群れをなして水中をゆっくりと泳いでいたという。
 ときには、湖面ごぼごぼと無数の泡がわきだして怪物らしき生き物の一部が水面から出現したこともある。
 1973年には日本の調査団がネス湖を調査している。小型の潜水艦に乗って湖底を探査しようと思っていたところ、不気味でよどんだ水面を見ているうちにダイバーの気が変わってしまい潜ることを中止したという話があるらしい。
水中カメラでストロボ撮影されたネッシー
 陸上でネッシーを見たことがあるという人もいる。それによれば、体長は約6メートルで、頭部に丸っこい二本の角のような触覚があったらしい。森から出てくる時の動きは芋虫そっくりだったという。

 これまでの目撃例からすると、ネッシーは長い首がついた巨大なカタツムリのような恰好をしていることになる。ネッシーの正体は巨大な無脊椎動物で死体が見つからないのは無脊椎動物ゆえに死後分解してしまうからだろうという考え方もある。この他に、ネッシーの正体は古代の首長竜、巨大なアザラシ、巨大ミミズという説などあるらしい。
* 前世紀の恐竜が生き残っている? *
 一方、アフリカ大陸でも怪物伝説は無数に存在している。中央アフリカでは原住民が「モケーレムベンベ」と呼んで恐れている水棲の巨大生物がいる。話によれば、モケーレムベンベは像かサイのような身体を持ち、身体の色は灰色で、尻尾がヘビのようで首が長く草食性らしい。いつも水辺にいることが多く、知らずに接近した原住民のカヌーがひっくり返されたこともあるらしい。
 イメージからすると古代ジュラ紀に生息していたアパトサウルスに大変似ているので、恐竜が生き残っているのではないかと、これまで日本の探検隊を含め、多くの探検隊が出かけていったがいまだ確証はつかめていない。
ジュラ紀(1億5000万年前)の沼地の様子
 アフリカ中央部の広大な沼地で恐竜が生き残っているかもしれないと期待されるのも、この地域が6500年前の(白亜紀の終わり頃にこの地球上を襲った大異変)大天変地異の影響をさほど受けなかったと思われるからである。

* 日本の湖にも巨大生物がいる! *
 日本でもこの種の巨大生物の目撃談は後を絶たない。北海道の釧路湖には古くから巨大な生き物が生息しているという伝説がある。この水棲の巨大生物はクッシーと呼ばれ、古いものではアイヌの伝説の中で巨大な蛇という形で出て来る。一度など、レストハウスで多くの人々によって目撃されたこともある。それによれば、波もない湖面に大きなうねりが生じたかと思うと湖面をスーッと横切っていったという。水中には黒っぽい巨大な体が見え隠れしていたらしい。
 富士五湖の一つ、本栖湖もよく怪物が目撃されている湖だ。静まり返った湖面が急に盛り上がってコブのようなものがいくつか突き出し、水面下には巨大な黒っぽい胴体が見えたというものだ。
 山形県の大鳥池にはタキタロウという謎の巨大魚が生息している。大鳥池は周囲が3.2キロあり、最も深いところで68メートル、池と言っても川をせきとめて出来た湖である。この湖に生息する巨大魚タキタロウは体長が2メートルから3メートルもあると言われ、過去に何度か捕獲されている。新種の古代魚であるとか巨大イワナ、ソウギョであるとか言われるが詳細は不明である。
 九州の池田湖の怪物も有名だ。この湖は鹿児島県の薩摩半島にあり、最大水深233メートル、周囲は15キロ、直径3.5キロほどの円形をしたカルデラ湖で九州では最大の湖だ。水温も年間平均で摂氏10度と温かい。この池田湖の怪物もビデオで何度も撮られ、テレビでも特集されて報道されている。池田湖には体長2メートルもある巨大ウナギが生息することが知られており、怪物の正体はこの巨大ウナギではないかとも思われているが真相は謎に包まれている。
* 深海に生息するUMA *
 これまで紹介して来た目撃例は全体のほんの一部だが、はたして私たちの知らない巨大生物はいるのだろうか? 流木とか水鳥だとか魚の群れとか、ただの風とか波の自然現象を見誤っただけだろうという懐疑的な見方もあるが、目撃されたすべての例がそうであるとも思えない。
 この地球上には、まだまだ発見されていない未知の動物はいる。シーラカンスは4億年前のデボン紀の海に生息していた古代魚だが、1938年にはマダガスカル島周辺の深海で捕獲されたのは記憶に新しい。ジンベイザメと同類とされるメガマウスは近年、その存在が確認されたばかりで、死体などは数年に一度くらいの確率でしか発見されず、生態的にもまだまだ未知の部分が多い巨大魚だ。
 オーストラリアの海では、20メートルもあるメガロドンという古代の巨大ザメがまだ生存しているのではないかと思われている。このメガロドンという巨大ザメはつい200万年前まで生息していたと推測され、凶暴なホオジロザメの数倍もの巨体をもつ恐ろしい怪物ザメだ。
 漁師によって目撃されたり、船に体当たりされたという情報が幾度か寄せられている。
 ドシン!と巨木がぶつかるような感触があり、港で確認したところ巨大な歯が船体に突き刺さっていたらしい。
 このため衝撃でスクリューのシャフト部分が折れ曲がってしまったということだ。
 噛み付かれた直径から計算すると体長24メートルはある巨大ザメということであった。
 またこの巨大ザメを目撃した漁師は、想像を絶するあまりの巨大さに長らく漁に出るのをためらったそうだ。
メガロドンとダイバー(人間)との大きさの比較をすればこれぐらいになるだろう。
 これらの動物は現在、博物館で化石でしかお目にかかることが出来ない存在だ。しかしこうした何億年もはるか以前に絶滅したと思われていた生物が生き残っていると考えられるのも、深海は陸上よりも気候の激変に影響されにくい環境だと考えられているからだろう。神秘的な湖面の下にも科学の解明されていない多くの謎が隠されていると見るのはごく自然の考え方だと思う。
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