フィラデルフィア計画
〜極秘実験が目指した恐るべき真実とは?〜
 今でこそ、ステルス爆撃機、ステルス戦闘機、ステルスタンクなど隠密性を売りにしたハイテク兵器の名がよく聞かれる。
 しかし、今から70年ほど前、第二次大戦の真っ最中に、艦船の磁気を消去して磁気に感知する機雷や魚雷の脅威から身を守り、レーダーにも探知されないようにしてしまうという大胆な極秘実験がアメリカ軍の手で行われた。その実験とは「レインボー・プロジェクト」つまり世にいうフィラデルフィア計画であった。
 このプロジェクトの推進者はオーストリア生まれのニコラ・テスラ博士で、実験艦を用いて艦の周囲に強力な磁場を発生させて艦本来がもつ磁場を相殺して、磁気を消去しステルス性を持たせようとするものであった。
 もし磁気が消滅すれば、これに感知して爆発する機雷や魚雷からの脅威がなくなるだけでなく、敵の放つレーダー波さえも、かわすことが出来るのだ。つまり、戦場で敵に感づかれることなく相手のふところ深く忍び込み奇襲攻撃が可能になるのである。
 しかし、艦の周囲に磁場を発生させて艦の磁力をゼロにすると言ってもそう簡単なことではない。巨大な電気磁石をつくらねばならず、途方もない電力が必要だし、艦全体をおおうコイルとなると想像を絶する経費が伴う。
 そこでニコラ・テスラ博士の考案による特殊発電機を用いることにした。博士は当時、電気工学の第一人者で100万ボルトまで出力可能な変圧器、無線トランスミッターをはじめ、数々の発明を生み出していた。大戦中は軍の機密計画にも参加して、巨大な鉄の塊を粉砕する実験や殺人光線の研究などにも没頭したと言われる天才学者だ。
 博士の考案した発電機は超高圧な電流を生み出し、周囲にバリヤーのように磁場を形成することができた。
しかしこの特殊発電機を用いても、一台では足りず複数が必要で、計画はかなりの資金と時間をかけて行われることになった。
 この計画は当時、原爆開発とともに軍の第一級の最高機密であった。そのため、この実験がいつどこで行われて、どういう結末を迎えたのか、誰にも知られることもなく歴史の闇に葬り去られねばならなかった。
ニコラ・テスラ(1856〜1943)エジソンとならんで電気工学の権威。晩年は霊界との交信などオカルト色が強まった。
ところが、戦後10年も経ってから関係者と称する人間から一通の手紙が寄せられてにわかに脚光を浴びることになる。
 手紙が寄せられたのは天文学者でUFOや超常現象の研究家として名高いジェサップ博士であった。博士は手紙を読んでいくにつれ、そこに記された数々の衝撃的な内容に愕然としてしまった。
 その手紙には到底信じがたい恐るべき内容が描かれていたのである。
 第二次大戦中の1943年8月12日、フィラデルフィア計画は行われた。実験に使用される艦艇は駆逐艦「エルドリッジ」で全長93メートル、1500トンである。
 実験が開始される。強力な磁場をつくりだすために考案されたテスラコイルという特殊な発電機がうなり声をあげる。
「ウィーン・・・ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛・・・」停泊している艦が緑色を帯び始め、やがて薄緑色の発光体に少しずつ包まれて行った。
駆逐艦「エルドリッジ」は緑色のもやに包まれた。次の瞬間、エルドリッジの姿はそこにはなかった。
 緑色の球体の中で艦の姿はぼんやりとかすんでいく。そして次の瞬間、艦は跡形もなく消え失せていたのである。
「おお、艦が消えた!」「どうなったんだ?」港で見守っていた多くの軍関係者たちから驚きとざわめきの声があがる。磁場が艦全体を包み込んだために見えなくなってしまったのだろうか? 実験は一見、成功したかのように見えた。しかしこの時、艦内では予期しない恐ろしいことが起きていた。
 実験開始直後から、船体の各部からバチバチと青白い火花が散り、メインマストやアンテナが一瞬に溶けてしまったのだ。装備されていた機器の類は、稲妻に打たれたように火花を散らして跡方もなく吹き飛んだ。
 しかし艦内ではもっと奇怪な現象が起きていた。このとき、乗員にとって艦内の様子はゆらゆらと揺れ動く陽炎のように見えていた。夢か現実かまったく区別がつかず、甲板や船体の一部に身体が吸い込まれたり、上半身だけが透明になったり、それはまるで物質と人間がごちゃごちゃに融合してしまったような奇怪な光景であった。
 それと同時に凄惨な光景がそこかしこでが繰り広げられていた。
 ある乗員は体の各部から炎を吹き出すなり悲鳴をあげる間もなく真っ黒に炭化してしまった。
 またある乗員は痙攣して発狂してしまい、ある乗員は廃人になって宙をにらんだまま身動き一つしなくなってしまった。
艦内は見たこともない異次元の空間と化した。
 こうして乗員16名が悲惨な死を遂げ、生き残った乗員たちも、全員体の不調をうったえ、その後、精神になんらかの異常をきたし精神病院に送られたのであった。結局、社会復帰した者は誰一人なく、全員廃人となるか死亡してしまったというのである。かろうじて無事だったのは頑丈な鉄の隔壁で守られていた一部のエンジニアだけであった。
 さらに手紙は、艦艇がフィラデルフィアから1600マイル(約2500キロ)も離れたノーフォーク港にまでテレポートされた事実を告げていた。なんとノーフォーク港ではこの艦艇の姿がうすく蜃気楼のように点滅をくり返しながら数時間も目撃されていたということであった。
 これらの現象はおそらく強い磁場のために空間自体がゆがんでしまい、この磁場によって生体と物質さえも融合し、物体の瞬間移動や人体からの発火現象など、不可解な現象を引き起こしたものと思われた。
 ジェサップ博士は関係法面にこの情報を伝えたが、たちまち各方面からは電撃的な衝撃が走った。しかし詳細な調査を開始してまもなく、ジェサップ博士は謎の自殺を遂げてしまう。だが死因には不明な点が多く、自殺は見せかけで、博士は真実を知り過ぎたために口封じのため殺害されたのではと考えられている。
モーリス・ジェサップ博士(1900〜1959)超常現象の研究家として知られた。
 当時ソ連でもこれとよく似た研究が行われていたらしい。ただし、実験に使用されたのは潜水艦だった。ソ連としては海中に潜航した潜水艦の磁気を消すことができれば、さらに隠密性が完璧なものになると考えたようである。
 確かに第二次大戦末期になって開発されたソノ・ブイやヘッジホッグを始め新型の対潜兵器から逃れるには艦の磁気を消去するのが一番有効だったというのがソ連の主張である。

 このときも、艦内の機器類から凄まじい火花とともに炎が吹き出し、乗組員の何人かにかなりの死者が出て、精神に異常をきたした者も出たという。
 一方、アメリカ海軍としては、フィラデルフィア実験などなく、使用された駆逐艦「エルドリッジ」はそもそも一度もフィラデルフィアに寄港したことすらない。
 ノーフォーク海軍工厰で行われていた艦艇の消磁を目的とした各種実験に尾ひれがついて一人歩きして都市伝説になったという見解を打ち出しているが、私には1947年に起きたロズウェル事件と似たようなケースに思われてならない。
 果たしてフィラデルフィア実験は実際に行われ、けた違いとも言える異常な磁場の中で、手紙に書かれたような奇怪な現象が本当に起きたのか、それともフィラデルフィア計画など根拠も何もなく根も葉もないただのデマであったのか、くわしい真相は不明である。
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フィラデルフィア実験の画像
http://www.roswell.it/2006/12/12/philadelphia-experiment.html
http://haltenny.deviantart.com/art/Philadelphia-Experiment-Effect-203488527
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